「新4K8K衛星放送」視聴に専用機器必要 超高画質TV、普及には時間
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「新4K8K衛星放送」視聴に専用機器必要 超高画質TV、普及には時間
「放送の新たな世界の幕開けとなる」。6月1日、東京で開かれた半年前セレモニーで、NHKの上田良一会長は各局首脳らを前に力を込めた。
NHKは4Kチャンネルを「超高精細の映像を身近に楽しめる入り口」と位置付け、南極からの生中継といったオリジナル番組のほか、4Kで撮影した既存の地上、BS放送の番組をオンエア。民放も含め唯一の8Kチャンネルは「最高品質のフラッグシップ(旗艦)」として、ルーブル美術館や宝塚歌劇団の特集番組などを放送する。
民放キー局系の4Kチャンネルは基本的に、既存BS放送と同じ番組を流し、ニュースやドラマなど一部を4K画質にする。スポーツや映画など専門的な有料4Kチャンネルも始まる。
電子情報技術産業協会によると、4K映像を表示できるテレビは既に400万台以上、出荷されている。50インチで5万円台の製品も。8K対応テレビは70インチで80万円前後だ。
しかし、これらのテレビで新放送を受信するには、今秋発売される専用チューナーが必要になる。ピクセラ社製の4K用で3万円程度。チューナー内蔵の4Kテレビも今月、50インチが18万円前後で売り出された。
さらに、チューナーがあっても、「左旋」といわれる放送方式の一部チャンネルを見るには、アンテナや分配器などを交換しなければならない。共用アンテナのマンションでは、工事費がかさむ。工事内容によっては、費用の3分の2を総務省が補助する。
ケーブルテレビと契約していて4K対応テレビがあれば、左旋のチャンネルも視聴できる可能性が高い。ただし、8Kを見られるのは、8K対応テレビと光回線がある世帯に限られる。
このように、新放送を楽しむ環境を整えるのは、必ずしも簡単ではない。放送サービス高度化推進協会の調査では、4K対応テレビを持っていない人の半数以上が「欲しいとは思わない」と答えている。
視聴者が少ないと、局は収入が上がらず、4Kの番組を作れない。番組が増えなければ、受信機が売れない-。鶏が先か卵が先かのジレンマだが、民放幹部は「やれることから、やるしかない」と話している。
2018.6.9 06:06
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180609/bsb1806090500001-n1.htm